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近年、唐代史の叙述は、中央ユーラシア史やジェンダーの視点を採り入れ、大きく変わりつつある。しかし政治史においては、皇帝と貴族・儒家官僚ら男性エリートを中心に据えた「正統史観」が依然として強固である。本書は、従来「周縁」に位置づけられてきた女性・宦官・外来人・仏教僧侶を中心に据え、唐代史の枠組みをパラダイム転換する試みである。仏教を媒介として結びついたこの「もうひとつの唐朝」は、禁軍や寺院のような組織を通じ、宗教・軍事・経済面で無視できない勢力を形成した。そして、唐代のじつに三分の一の期間にわたり、独自のやり方で国家を支え、動かしていたのである。
序章第1部 「周縁」勢力の台頭とそれに対する反動(武韋政権における仏典翻訳の政治性武韋政権と仏教的世界観の転換―辺土から中心へソグド人と仏教―唐における「改宗」の諸相天竺から来たソグド人―「故金剛智三蔵行記」より玄宗開元期の反動―仏教粛正と「胡」への対応)第2部 「周縁」勢力の再興とその後(宦官による政治主導と仏教の役割―『仁王経』翻訳事業の分析より不空の長安仏教界における台頭とソグド人徳宗期の長安仏教界とユーラシア情勢―『大乗理趣六波羅蜜多経』翻訳事業の分析より徳宗期『四十華厳』翻訳にみる仏教的中華宦官にとっての仏教―儒教的価値観の超克「もうひとつの唐朝」と会昌の廃仏「もうひとつの唐朝」の遺産―沙陀の唐中興と五臺山)終章
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